韓国語の勉強法の一つに「聞き流し」があります。聞き流しはリスニングとはやや異なり、集中を伴わずに韓国語の音声を聞く勉強法です。聞き流すだけでいいので手軽に勉強できるとして、すでに実践している人もいるでしょう。
しかし、聞き流しの効果については意見が分かれます。効果がないと聞いて、聞き流しを韓国語の学習に組み込むか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
結論からいえば、聞き流しは正しく活用すれば、韓国語の上達に効果があります。しかし、どのレベルの人にとっても効果的な学習法というわけではないので注意が必要です。
本記事では、韓国語聞き流しの正しい活用方法と具体的なおすすめの聞き流し動画をご紹介します。聞き流しを上手に活用して、韓国語の習得に役立てましょう。
そもそも聞き流しとは?
聞き流しとは、音声を聞くだけで学習する方法です。韓国語や英語など、外国語の学習によく活用されます。
音声を聞く学習といえば、代表的なのはリスニングですが、聞き流しとリスニングには大きな違いがあります。リスニングは文章を聞き取るために集中して耳を傾けますが、聞き流しは文字通りBGMのように聞き流すだけなので、集中して聞く必要はありません。
とはいえ、聞いても理解できないような韓国語の聞き流しは意味がありません。後ほど詳しく解説しますが、聞き流しはほとんど理解できるようなレベルの韓国語を聞くことで学習効果を得られます。
聞き流しは集中して聞く必要がないため、「家事をしながら」「散歩をしながら」など、他のことをしながら学習可能です。忙しい人でもすきま時間を活用して取り組めるでしょう。
韓国語聞き流しを活用するメリット
聞き流しを活用する主なメリットには、次の2つが挙げられます。
- ネイティブの発音や抑揚に慣れる
- 他の作業をしながら学習できる
ネイティブの発音や抑揚に慣れる
韓国語の聞き流しを活用すると、ネイティブの発音や抑揚をたっぷりインプットできます。聞き流しはリスニングのように集中して聞くわけではありませんが、何度も繰り返し聞くことで、自然と韓国語の発音やリズムに耳が慣れてきます。
他の作業をしながら学習できる
聞き流しは勉強方法の一つではありますが、他のことをしながらできるので、忙しい人でも時間の有効活用が可能です。集中して聞かなくていいため、「家事をしながら」「運動しながら」など、他のことをしながら聞くことができます。
忙しくてなかなか韓国語の勉強時間を捻出できない人も、すきま時間を利用して聞き流しが可能です。もちろん聞き流しだけでは韓国語が上達しないので、他の学習方法と組み合わせて活用しましょう。
学習は基本的に集中しておこなうものですが、何か他の作業をしながらでも韓国語の発音や抑揚に慣れていけることが聞き流しを活用する大きなメリットです。
韓国語聞き流しを活用するデメリット
韓国語の聞き流しを活用するデメリットには、語彙力がない人にとって学習効果がないことが挙げられます。
母国語がまだ身に付いていない小さな子どもに外国語の聞き流しをすると、どんな音でも吸収して負担なく発音や抑揚に慣れることができます。しかし、大人はすでに母国語がインプットされているので、子どものようには吸収できません。わからない言語を聞いても、それを言語として認識できずに雑音として聞こえてしまうといわれています。
そのため、聞き流しで韓国語を覚えようとしても学習効果はありません。わからない韓国語を聞き流しても、雑音を聞いているのと同じだからです。
韓国語の勉強を始めたばかりで、まだ語彙力がない人は、聞き流しを活用しても韓国語の習得に役立ちません。入門レベルの人が「聞き流すだけだから楽に勉強ができる」と思って、他の学習方法と併用せずに聞き流しばかりしていても伸びないのです。
語彙力がついた後に聞き流しを活用すれば、韓国語の学習に効果を発揮します。聞き流しで単語を覚えることはできないので、まずは単語をたくさん覚えて語彙力をつけることが大切です。
韓国語聞き流しをより効果的に活用する方法
聞き流しは聞いているだけで韓国語が伸びるわけではありません。聞き流しをより効果的に活用する方法をご紹介します。
自分のレベルに合う教材を選ぶ
聞き流しを効果的に活用するには、自分のレベルに合う教材を選ぶことが重要なポイントです。なぜなら単語の意味をまったく知らないのに聞き流しても意味がないからです。
わからない韓国語を聞き流しても、雑音にしか聞こえません。しかし、ほぼ理解できる韓国語を聞き流せば、雑音には聞こえません。
具体的な目安としては、8割くらい理解できる教材が適しています。聞き流しをしながら意味をほぼ理解できるように、初級の人は初級レベルの教材、中級の人は中級レベルの教材を使うのが効果を高めるポイントです。
聞き流しは単語を覚えるというより、すでに覚えた単語を復習する感覚で活用するのが効果的です。そのため、まだほとんど韓国語の単語を覚えていない入門レベルの人は、いくら聞き流しをしても学習効果が期待できません。まずは単語をたくさん覚えて語彙力をつけることから始めましょう。
聞くだけでなく音読もする
聞き流しは音声に集中せずにただ聞き流しておくものです。何かをしながら学習できるので忙しい人も活用しやすい勉強方法ですが、たとえ何回繰り返し聞いても韓国語を話せるようになりません。
聞き流しを活用することで韓国語のリスニング力は伸ばせますが、話せるようになるためには話す練習が必要です。そこで聞き流しの教材には音源とスクリプトがセットになったものがおすすめです。
YouTubeにも多くの聞き流し動画がアップロードされています。YouTubeの聞き流しもスクリプトがついたものを活用すると、聞くだけでなく音読もできるので、韓国語を話す練習ができます。
音源とスクリプトをフル活用する
音源とスクリプトがあれば、さまざまな勉強方法ができるので、フル活用して聞き流し効果を上げましょう。音源とスクリプトを効果的に使った学習方法をご紹介します。
- アイシャドーイング…スクリプトを見ながら音源を聞く。
- オーバーラッピング…スクリプトを見ながらネイティブの抑揚やリズムに合わせて読む。
- シャドーイング…スクリプトを見ながら音源より2〜3秒遅れて読む。
アイシャドーイングは、スクリプトを見ながら音源を聴き、聞こえた音を目で追いかけていく方法です。スクリプトを見て、わからない単語や文法があれば、調べておきましょう。
オーバーラップとは重ね合わせる(Overlap)という意味です。単語の意味や文法を把握できたら、スクリプトを見ながら韓国語の音声に合わせて読みましょう。ネイティブの抑揚やリズムに合わせて読むことで、自分の苦手な部分が把握できます。苦手な部分は何度も巻き戻しながら繰り返し練習しましょう。リスニング力だけでなくスピーキング力を高める効果があります。
発音や抑揚を学習した後は、スクリプトを見ながら音源よりやや遅れて読んでいくシャドーイングを実践しましょう。シャドーイングによって、音源に頼らずに自分で韓国語を読めるようになっていきます。
さらにスペルの学習もしたい場合は、パダスギもしてみましょう。パダスギとは音源の文章を書き取る学習法のことです。
音源とスクリプトをフル活用してここまで学習すれば、聞き流しを復習感覚で活用できます。
オススメの韓国語聞き流し動画
ここからは韓国語学習者にオススメの聞き流し動画をご紹介します。ご自分のレベルやテーマに合った動画を選び、韓国語勉強に役立ててください。どの動画も韓国語教室コリアンテナが制作したコンテンツなので、安心してご利用いただけます。
例文を併せて学べる聞き流し動画
単語だけで暗記するのではなく、その単語を活用した例文と一緒に学ぶことで、より効率的に語彙を増やすことができます。
リラックスしながら聞ける聞き流し動画
静かなBGMに合わせて韓国語初級単語を聞き流すことができます。リラックスしたいときや寝る前に韓国語を聞きながら、生活中に韓国語を染み込ませましょう。
文型を学べる聞き流し動画
会話や長文で頻出する文型を一緒に学ぶことで、韓国語の会話力も向上します。1つの文型がどのように使われているかをいくつかの例と併せて学ぶことですぐに定着するはずです。
韓国語ビジネスレベルが聞きたい韓国語聞き流し
韓国での面接や出張、就職などを見据えている方のための、ビジネスシーンで役立つ韓国語フレーズを盛り込みました。
コロケーションに特化した韓国語聞き流し
コロケーション(連語)に併せて韓国語を学ぶことで、1つの単語に対するさまざまな表現やニュアンスを勉強することができます。
日常会話に特化した韓国語聞き流し
韓国人の友達や知り合いと会話する際に役立つ表現・フレーズを盛り込みました。
TOPIK合格のための韓国語聞き流し
TOPIK(韓国語能力試験)で頻出する初級単語を盛り込みました。スクリプトも付いているので、試験対策に役立てられます。
テーマ別韓国語聞き流し
各テーマ別によく使われるフレーズを収録しました。
これら以外にも、聞き流し韓国語の動画は、コリアンテナのYouTubeより聞き流し動画リストにてご覧いただけます。
韓国語聞き流しを検討している人のよくある疑問点
- 韓国語の聞き流しをすればリスニング力が上がりますか?
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音声の8割程度は理解できる教材で聞き流しをすれば、リスニング力を伸ばす効果が期待できます。聞き流しで聞こえてくるのが自分が知っている単語ばかりであれば、雑音に聞こえることはありません。
韓国語に限ったことではありませんが、外国語を勉強するときは発音や抑揚を習得するのに苦労する人が少なくありません。韓国語にも日本語にはない発音や覚えるべき抑揚があるので、聞き流しによって耳を慣らすとリスニング力の向上に役立ちます。
しかし、聞き流しだけで学習するのは不十分です。まずは韓国語の単語をたくさん覚え、正しい発音を身につけることが大切です。音声とスクリプトがセットになった教材を用意して「アイシャドーイング」「オーバーラッピング」「シャドーイング」といった学習方法を併用すると、さらに韓国語のリスニング力を伸ばすことができます。聞き流しの教材をフル活用しましょう。
- 聞き流しはどんな教材を選べばいいですか?
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聞き流しは音声とスクリプトがセットになったものを選びましょう。ユーチューブでも音声とスクリプトがセットになった動画を視聴できるので、お金をかけずに教材を見つけることができます。
また、聞き流しで使う教材は、できるだけ自分が興味を持てる内容が望ましいです。繰り返し聞くことが大切なので、興味のある内容なら飽きずに何度も学習できます。興味のある内容であれば頭に残りやすいので、聞き流しの中の表現が定着して学習効果が上がりやすいでしょう。