韓国語を勉強していると、「韓国企業に就職してみようかな?」「韓国企業に転職するのもありかも!」と考えることがあると思います。
就職先の選択肢として、韓国企業を視野にいれておくことは、素晴らしいことです。
韓国語が分かれば、業務を進めるうえで役に立つことも多いですし、なにより韓国企業の組織構造は日本とよく似ているので、日本人にとって仕事を進めやすいというメリットもあります。
ですが、企業によっては日本と異なる企業文化を持っていることもあり、日本人が韓国企業への就職を考える際には注意が必要となる点もあります。
そこで本日は、韓国系企業の特徴や日本との違いを解説し、「韓国企業に就職したら、どんな感じなんだろう?」「韓国企業と日本企業って何が違うんだろう?」といった疑問にお答えします。
韓国企業の特徴
韓国の企業制度は日本の企業制度をお手本にして作られているので、とくに内部の組織構造や業務の処理方式などが日本とよく似ています。
そのため、欧米などの企業に比べて、韓国企業は日本人にとって働きやすい環境です。
実際に韓国には、現地の企業に長年勤めている日本人がたくさんいらっしゃいます。
しかし、韓国企業で働いてみると、日本企業とは少し違った企業文化を持っていることに気づくはずです。
その中でもとくに、「業務量」「人間関係」「ハラスメント」に大きな違いがあります。
今回はこの3つにフォーカスし、その実情を見ていきましょう。
業務量
業務量について詳しく見る前に、労働時間についてお話すると、韓国企業は日本企業と同じく1日8時間労働が基本です。
始業時間と終業時間は企業によって異なりますが、大体が午前8時半から午後7時までの間に仕事をし、昼休みを1時間~1時間半ほどはさみ、1日の勤務時間を8時間と設定しているところが多い印象があります。
ですが、韓国企業では従業員の特性上、業務処理スピードが非常に速いのが特徴です。
必要な業務は後回しにせず、その場で優先的に処理する傾向が強いため、必然的に1日8時間のうちに処理しなくてはならない業務量も増える傾向にあります。
生産性が高いので、チームで仕事をしやすいというメリットはあるのですが、逆にプレッシャーになることもよくあります。
また、以前から問題視されている「残業時間」についても、いまだに解決されていないケースが多いです。
韓国では2018年から週52時間勤務制が実施され、一週間に12時間以上の残業ができなくなりました。
その甲斐あって、統計上の残業時間は全国的に減っています。
しかし、もともと業務量の多かった企業では、法改正後も業務量の是正がされないところも多々あります。
そのため、業務時間内に仕事が終わらない場合は、始業時間前の早朝に出勤して業務を片づけたり、就業時間外にこっそりサービス残業したりして、業務量をこなす従業員がいまだにいるのが現状です。
日本でも数年前から働き方改革が実施されましたが、企業によっては実情がブラックのまま、というケースもありますよね。
日本と同じことが韓国でも起きていると考えれば、わかりやすいと思います。
そこに、先ほどお話しした通り業務処理スピードの速さが加わるため、その業務量に驚く日本人も多いです。
そのため、韓国企業に就職する際は、業務量を含めた労働環境が自分と合っているか、しっかりと見極めてから就職先を選ぶことが大切です。
人間関係
韓国でも「人間関係」は、社会生活を送るうえで誰もが直面する、難しい問題のひとつと見なされています。
とくに日本人が韓国企業に就職する際は、通常の人間関係にプラスして、日本人ならではの気苦労を感じることもあるはずです。
韓国企業では基本的に、従業員の社交的な性格が影響して、同僚たちと打ち解けやすい雰囲気があります。
とくに日本人が新入社員として入社したとなれば、業務の合間に声をかけたり、気にかけてくれる人がちらほらいます。
日本のように形式ばっておらず、あくまでもフレンドリーに接してくれることが多いため、日本人従業員の立場からすると受け入れられている感じがして、非常にありがたく思う場面が多いでしょう。
ですが、そういった従業員の集団主義的な性質が、ときに個人の時間を大切にしたいと思う日本人にとって、負担となってしまうこともあります。
特に韓国企業では昼休憩の時間が固定されていることが多く、お昼ごはんは同じチームのメンバーと一緒に食べに行くのが当たり前です。
日本のように、今日は何時に休憩に行くかを各自が決めて、自分の好きなように昼休みを過ごすというスタイルは、韓国ではあまり一般的ではありません。
また、韓国企業では就業時間後の飲み会が高い頻度で開催されるのも特徴です。
飲み会といっても大人数で集まってするようなものではなく、あくまで会社の帰りに数人で軽く食事をしながらお酒を飲んで帰る、というスタイルが一般的ですが、同僚や上司との付き合いを考えて断るのが難しい場面も多いです。
また、チームメンバーの誕生日にはケーキを用意して、就業時間中にみんなでお祝いするなど、同僚や上司との関係を築くスタイルにも日本との違いがはっきりと見て取れるのが、韓国企業の特徴ですね。
とはいっても、最近では韓国でも20代の若手社員を中心に、プライベートの時間を大切にしようとする風潮が少しずつ強まっていて、以前よりは誘いを断りやすい雰囲気になってきています。
ですが、自分の時間を大切にしたい人や、人付き合いをあまり得意としない人は、韓国企業に就職する際は十分に検討する必要がありそうです。
ハラスメント
一言でハラスメントと言っても、パワハラやセクハラ、モラハラ、アルハラ、スメハラなど、最近はその種類も多岐にわたります。
さらに日本では近年、労働人口の減少により、今いる従業員一人ひとりを大切にして、自社で長く働いてもらおうと考える企業が増えてきています。
そのため、社内で定期的にハラスメント研修を行ったり、ハラスメント対応窓口を設けるなどの対策を行っています。
最近は、韓国でもハラスメントに対する意識が高くなりつつありますが、ひと昔前までは、一部の大手企業や政府系企業を除き、ハラスメントに対する意識はそれほど高くありませんでした。
韓国は儒教の影響を強く受けており、上下関係を大切にする文化が根強いことが関係しています。
そのため、社内で業務を行う際にも、体育会系のスタイルで業務指示をしたり、部下を指導したりするケースもありました。
最近は昔ほどではりませんが、そういった傾向があった、ということ自体は知っておいて損はないでしょう。
ですので、韓国企業に就職したり転職したりする場合、社内のハラスメントに対する意識や対策について、日本との違いがあることに注意する必要があります。
韓国系企業の就職で注意すべきこと
ここまで韓国企業の特徴として、「業務量」「人間関係」「ハラスメント」の3つを中心に、その実情を見てきました。
これだけを見ると、「なんだか韓国企業に就職したくないな…」という気持ちになる方もいるかもしれません。
ですが、韓国企業への就職は、対策さえしっかりとしておけば特にトラブルなど起こることもなく、入社後も満足のいく職場生活を送ることができます。
では、そのためにはどうしたらいいのでしょうか。
ここでは韓国系企業に就職する際のコツとして、「労働環境のミスマッチを防ぐ」、「相談できる窓口を確認する」の2つの方法についてご紹介していきます。
労働環境のミスマッチを防ぐ
職場の労働環境については、正直なところ実際に入社して働いてみないとわからないというのが本音だと思います。
ですが、対策として、採用面接のとき人事担当者や面接官に労働環境について詳しく聞いておくことは、もっともよい方法です。
自分の希望と合わなければ入社を辞退すればいいですし、入社後にもし受けた説明と実情にギャップが生じたとしても、労働環境について企業と話し合う余地を残せます。
また、韓国にも企業口コミのサイトがあるので、すでにその会社を退職した人が労働環境についてどのような評価をしているか、情報を参考にするのもひとつのよい方法です。
ちなみに、韓国の企業口コミのサイトは以下のようなものがあります。
相談できる窓口を確認する
入社後、もし何かしらのトラブルに巻き込まれてしまった場合は、相談窓口に話すことをオススメします。
社内に信頼できる人がいれば、その人に相談するのもいいですが、韓国ではハラスメントに対する理解があまり進んでいなかったこともあり、なかなか取り合ってもらえない可能性もあります。
ですので、社内に相談できる窓口がない場合は、労働庁など社外の公共機関で相談に乗ってくれる窓口を探し、問題解決をお願いしてみるとよいでしょう。
韓国語に本気のあなたに特別なご案内
ここまで韓国系企業の特徴と就職で注意すべきことについて、「業務量」「人間関係」「ハラスメント」の3つを中心に、日本との違いを見てきました。
韓国企業では業務過多になりがちだったり、自分の時間を確保するのが難しかったり、ハラスメントに対する理解が得られなかったりすることがあります。
ですが、ミスマッチが起こらないよう事前に企業の労働環境について情報を集めておく、相談できる窓口を確保するなどしておけば、問題が深刻になるのを防げます。
なにより、韓国企業に就職する最大のメリットは、日本と違ったタイプの優秀な人たちと一緒に働ける機会が増え、その経験を通して業務スキルが格段とアップすることです。
日常の業務をこなすだけでも、業務処理スピードが上がったり、韓国語のスキルが身につくなどのメリットがあるため、韓国企業への就職はキャリアアップのひとつとしても、とてもいい選択肢といえます。
そのためには、まずは韓国語をネイティブレベルにする必要があります。
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